ヘリコプター免許を取得するためには

昨今の自然災害や要人輸送等、様々な現場で活躍するヘリコプターを目にする機会って意外と多いのではないでしょうか?国土の大半を山地が占める日本において、ヘリコプターは私たちの生活に身近に役立っている乗り物です。でも、「どうやったらヘリコプターパイロットの免許がとれるんだろう?」そんな疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?そうなんです、ヘリコプターは世に誕生してからかなりの時間が経った乗り物でありながら、パイロットへの道のりは不明点だらけなのです。今回はそんな謎ばかりのヘリコプターパイロット免許取得について解説していきます。

現状可能なプロのヘリコプターパイロットになる方法

1.官公庁の内部養成でパイロットになる。

現在、陸・海・空の自衛隊や海上保安庁、一部の警察や消防では、その組織内でヘリコプターパイロットを養成しています。パイロットとしてのポジションが確保されていること、免許取得に個人の費用が掛からないことがメリットとして挙げられますが、人気職種であるため、どの組織でも倍率が高く狭き門となっていることが一般的です。

 

2.民間パイロット養成校に入校する。

 日本には当校を含めいくつかの民間パイロット養成校が存在します。自費での訓練となるデメリットはあるものの、入校に際する制限は少なく、多くの人にパイロットになれるチャンスがあります。また、免許取得後の就職活動が必要になるものの、民間航空事業会社や一部の官公庁から、自分のやりたい仕事に応募することが可能であるため、内部養成に比べると縛りが少ないのもメリットの一つです。

ヘリコプター免許の種類

航空機の免許は一般的に「技能証明」と称しますが、本編ではわかりやすくするため免許と称させていただきます。ヘリコプターの免許は従事できる業務によって3つの種類に分類されます。

①自家用操縦士

趣味等でヘリコプターを操縦する場合に必要となる免許です。車で例えると「第1種運転免許」に近いものかもしれません。この免許では、ヘリコプターを操縦することに対する対価や報酬を受け取ることができません。

自身で機体を保有したり、フライトクラブ等でフライトを楽しまれたい方向けの免許です。

この免許に限り、海外で取得した同等クラスのライセンスに対して「切替手続き」を踏むことで、日本の自家用技能証明を取得することができます。この仕組みのメリットは、日本より訓練環境が良い海外(特に北米地域)で効率的にライセンスを取得できることが挙げられます。そのため、当校ではアメリカの協力校と提携し、この仕組みを活用した自家用操縦士への道をご用意しております。

②事業用操縦士

プロのヘリコプターパイロットとして活躍するために必要となる免許です。

趣味としてのフライトはもちろん、航空撮影や旅客運送、ドクターヘリ等の、皆さんが思いつく「ヘリコプターのお仕事」の操縦に携わることができるようになる技能証明です。ほぼすべての会社や官公庁の募集に必要となるものですので、プロを目指す人にはこの免許が必須となります。

自家用操縦士の上位互換的な立ち位置であり、段階的に免許を取得をしていく必要があります。また、先述したような切替手続きを行う仕組みがなく、国内で訓練を受ける必要があるのも特徴の一つです。

③定期運送用操縦士

やや専門的な表現となりますが、

「機長として、旅客等運送(航空運送事業)を行う回転翼航空機であって、構造上、操縦に二人を要するものの操縦を行うこと。」が可能になる免許です。簡単に説明すると、旅客機で機長として操縦する際に必要となります。ヘリコプターにおいては、かなり少ないですが旅客輸送の仕事が存在し、少数の方が保有されています。

④等級限定

今まで触れてきた免許とは異なりますが、ヘリコプターを操縦する上での資格の一つとしてご紹介させていただきます。ヘリコプターは、水上に発着できるか否かで水上機と陸上機の二つに分類され、さらにエンジンの種類と数により4つに分類されており、計8種類の等級が存在しています。車で例えると、オートマとマニュアルの関係性に似ています。しかし、大は小を兼ねるというような考え方は無く、それぞれの等級は独立し、必要に応じた等級を限定変更訓練と試験によって解除する必要があります。自家用や事業用の免許には、それらの実地試験で使用した機体と同等の等級が付与されます。

⑤型式限定

等級による限定とは別に、ある一定の基準を超えたはその機体に限定した免許を取らなければなりません。これを型式限定といいます。現代において救命救急や防災の現場で使用されるヘリコプターは、多くが型式限定を必要としています。事業会社に就職した後も、これらの免許を取得するため訓練を積み重ねていきます。

操縦するために技能証明以外で必要な資格

①航空身体検査

身体検査を資格と称するとあまり納得がいかないかもしれません。しかし、パイロットにとっては、操縦する身体を持っていることは、十分な資格となります。操縦に対して影響がないかをくまなく検査されます。定期健診では診られない部分も検査されることから、一見健康な人でも不適合となってしまうこともあります。特筆的な例で言うと脳波や眼圧、視野検査があります。また、パイロットになってからも定期的に検査を受ける必要があるため、パイロット人生にわたって健康を維持することが重要となります。航空身体検査は、限られた医療機関で実施されています。受診可能機関は航空局のホームページより確認することができます。

身体検査も免許取得段階に応じて3種類に分かれています。

 

(1)操縦練習許可書

免許を保有していない人が、操縦訓練を受けるために必要となる許可書です。次に示す航空身体検査証明と異なり、操縦練習をするために限ったものとなり、一時的な意味合いが強いです。有効期限は一般的に1年です。初回の受診は脳波検査を受ける必要があります。操縦訓練を始めたいと考えている方は、まずこのカテゴリーの身体検査を受診して、自身が適合しているか否かを知ると良いと思います。

 

(2)第二種航空身体検査証明

自家用操縦士として操縦をする際に必要となる身体検査証明です。自家用操縦士免許を取得した段階から受信が可能となります。操縦練習許可書同様、初回の受診では脳波検査を受ける必要があります。

 

(3)第一種航空身体検査証明

プロとして操縦を行うとき必要となります。入社試験の応募書類として求められることが多いです。第二種より検査基準が厳しく、有効期限が短く設定されています。かつては、事業用操縦士以上の資格を保有していなければ受診することができませんでしたが、現在は緩和され、自家用操縦士でも受診が可能になりました。第二種航空身体検査証明を保有していれば、脳波試験は有りません。

②航空無線に関する資格

航空無線を”発信”する際に必要となる免許です。受験資格は無く、操縦訓練を始めてなくとも取得が可能です。取得方法は2パターンあります。年に数回開催される試験に合格するか、講習機関が開催する養成課程に申し込をするかのどちらかです。

この二つの方法は、自動車免許に例えると”一発試験”か”公認自動車学校”のようなものになります。前者であれば、難易度は上がる半面、コストを抑えることができ、後者であればその逆となります。

また、航空無線に関する資格も2種類の免許に分かれます。

 

(1)航空特殊無線技士

航空機に搭載される無線設備の操作が可能となります。航空運送事業(旅客機等)の用に供する場合の無線操作はできません。

(2)航空無線通信士

航空特殊無線技士ができることに加えて、航空運送事業(旅客機等)の用に供する場合の無線操作も可能となります。ヘリコプターパイロットとして就職するには、この資格が必須となります。 

プロパイロット免許取得までの流れ

プロのパイロットとして活躍するまでの大まかな流れは次に示す通りです。限定変更を除くそれぞれの過程で学科試験と実地試験を受験します。

 

自家用操縦士技能証明取得~単発タービン限定変更訓練~事業操縦士技能証明取得~就職活動~内定

 

プロパイロットへのロードマップ

「ヘリコプターの免許ってどう取るの?」という疑問にお答えします。

プロとして空を飛ぶためには、大きく分けて3つのステップが必要です。

 

STEP 1:まずは「自家用」免許

まずは車の「教習所」と同じように、自分で操縦を楽しむための基礎免許を取ります。

 

使用する機材: Robinson R22(ピストンエンジン機)

 

ポイント: 最初は訓練費が安く、操縦の基本を学びやすい「ピストン機」で訓練することで、トータルの訓練費用を抑えることができます。

 

STEP 2:現場で必須の「限定変更」

ここがプロを目指す上で一番大切です!

実はヘリコプターの免許は、「エンジンの種類」ごとに分かれています。

 

ピストン機: 練習用の小型機に多い(車の「軽自動車」のようなイメージ)

 

タービン機: ドクターヘリや報道ヘリなど、プロの現場の主流(「大型トラック」のようなイメージ)

 

STEP 1で取ったのは「ピストン機」の免許なので、プロとして働くために「タービン機も操縦できる資格(限定変更)」をここで上書きします。

 

 

STEP 3:プロの証「事業用」免許

最後は、仕事として報酬をもらうためのプロ免許を取得します。

この免許と、STEP 2で取った「タービン機の資格」が揃って、初めて航空会社の採用試験にエントリーする準備が整います!

 

まとめ:なぜこの流れなの?

「最初からプロ用のタービン機で練習すればいいのでは?」と思うかもしれません。

しかし、タービン機は燃料代や維持費が非常に高額です。

 

1.ピストン機で安くじっくり基礎を固める。

 

2.限定変更でプロの機体に対応させる。

 

3.事業用でプロの資格を取る。

 

 

この流れが、最もコストを抑えつつ、確実にプロへの道を切り拓く最短ルートなのです。

ヘリパイロット免許 Q&A

【初級編】ヘリコプターの基本

 

Q. 運動神経が良くないと、操縦は無理ですか?

A. 普通に車の運転ができるなら、全く問題ありません。

ヘリの操縦は「バランス感覚」に近いです。スポーツの感覚が活きることもありますが、そういった経験がなくても活躍している操縦士はたくさんいます。自転車に一度乗れるようになれば一生忘れないのと同じで、訓練を重ねれば誰でも体が覚えます。

 

Q. 高所恐怖症でもパイロットになれますか?

A. 意外かもしれませんが、なれます!

現役パイロットにも「高いところ(ビルの屋上など)は苦手」という人は多いです。操縦中は「自分が機械をコントロールしている感覚」が勝るため、不思議と恐怖心を感じにくいと言われています。

 

Q. 墜落したりしないの? 安全性が心配です。

A. ヘリコプターは非常に安全な仕組みを持っています。

万が一エンジンが止まっても、プロペラが機体の下から入ってくる風を受けて回り続ける「オートローテーション」という現象を利用して、安全に着陸できます。訓練ではこの緊急操作を徹底的にマスターするので、冷静に対処できるようになります。

 

【中級編】免許の種類と訓練について

 

Q. 「自家用」と「事業用」の免許、何が違うんですか?

A. 「報酬を得て仕事として飛べるか」の違いです。

自家用: 趣味や移動のために操縦するための免許です。友人や家族を乗せて日本全国どこへでも飛んでいけます。

事業用: 航空会社に就職し、給料をもらって操縦するために必須となる「プロの免許」です。

 

Q. 「ピストン」と「タービン」って何が違うんですか?

A. エンジンの仕組みとパワー、そして「用途」が違います。

ピストン機(当校の訓練機 R22): 維持費が安く、操縦の基礎を学ぶのに最適です。

タービン機(ドクターヘリなど): ジェットエンジンと同じ仕組みでパワーがあり、プロの現場の主流です。

当校では、まず安いピストン機で基礎を固め、その後にタービン機の資格を追加(限定変更)する、最も効率的なルートを推奨しています。

 

Q. 英語が話せないと、管制塔とのやり取りができないですか?

A. 基本的には英語になりますが、日本国内なら日本語でも大丈夫です!

決まった専門用語(航空英語)をパズルのように組み合わせて話すだけなので、あまり身構える必要はありません。

 

Q. 免許に「有効期限」はありますか?

A. 免許自体に期限はありません。

ただし、空を飛ぶためには定期的に「航空身体検査」を受けて、健康であることを証明し続ける必要があります。

また、特定操縦技能審査を2年に一度受験しなければなりません。

 

Q. 特定操縦技能審査って?

A.ヘリコプターの免許には、車の免許のような「5年ごとの更新」はありません。その代わりに、2年に一度、プロの試験官に操縦をチェックしてもらう義務があります。これが「特定操縦技能審査」です。

安全知識が抜けていないかを確認し、事故を防ぐために航空法により義務化されています。もし受けなかったら、免許自体は取り消されませんが、「機長として飛ぶこと」ができなくなります。例えるなら、車の免許は持っているけれど、2年に一度「教習所の先生を隣に乗せて合格をもらわないと、公道を走ってはいけない」というルールがあるようなイメージです。

 

【上級編】プロ(事業用操縦士)を目指す方へ

 

Q. 目が悪いのですが、プロになれますか?

A. はい、大丈夫です!

裸眼である必要はありません。メガネやコンタクトレンズを使用して、矯正視力が基準(各眼0.7以上、両眼1.0以上)に達していれば、プロの道を目指せます。

 

Q. プロになるために「限定変更(タービン)」は絶対必要?

A. 実質的に、就職には必須と言えます。

報道ヘリやドクターヘリなど、仕事で使う機体のほとんどは「タービン機」です。採用条件にも含まれることが多いため、事業用免許を取る前にこの資格を取得しておくことが、就職活動を有利に進める最大のポイントです。

 

Q. 免許を取った後、就職先は見つかりますか?

A. 「単発タービン限定」まで持っていれば、チャンスは大きく広がります。

当校では、事業会社の即戦力として飛べる技術や心構えを教えています。プロの免許取得を考えている方は是非一度お問い合わせください!

 

Q. 結局、トータルでいくらくらいかかるの?

A. 訓練プランによりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。また、月に2回体験スクール説明会も開催していますので、そこで費用明細をご提示させていただきます。

プロ免許+タービン限定変更まで含めると大きな投資になります。だからこそ当校では、コストの低いピストン機(R22)をメインに使うことで、他校よりも総額を抑え、効率的にプロの免許を取得できるカリキュラムを組んでいます。